てからでまかせ帳

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実存と空想の融点でひかること

2013/11/26(Tue) 00:17

IMG_6500.jpg

先日、白川河川敷で観たどくんごに恋をして鹿児島まで追いかけた。

どくんごとは春から秋にかけ全国旅ゆく先々にワンナイトサーカスの如く

テント劇場を出現させ芝居公演をしてまわるさすらいの旅劇団だ。

ストーリーはない、役名もない、展開に脈絡もない。

それなのに約二時間終始ひとときも飽きることがない。

いわゆるアングラ属なのだろうけど文化的選民思想ムードもまったく感じない。

メランコリックかつシュールでエキセントリックに狂気じみているのに

そこにはものすごく普遍的なテーマがあることをただ満身で感じた。

今夜のわたしの語彙ではそれを愛というふうにしか言うことができないけれど。

舞台に立つということは実存と空想の融点でひかるということなのでは

なんてことをふと思う。

役者が個々に恒星のようにひかりつつ

舞台総体としては観る者の心に潜む光を反射してみせるような

言ってみれば月のようなひかり方をしていた。

だからただすごいものを観たというだけでは終わらない深い余韻を残すのだろう。

写真は終始魅せられっぱなしの劇中でもひときわ面喰らった章

「手紙にはちょっとうるさい男」





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入浴剤と、一万円札が一枚

2012/12/25(Tue) 00:24
karasu.jpg 




12年前のクリスマスの話をしよう。




ボーイフレンドと斑尾タングラムへスノーボードに出かけた帰り道、私たちはくたくたの体で二階建て夜行バスに乗っていた。

窓の外は1メートル先も見えないような吹雪。バスはゆっくりと走る。

対向車のヘッドライトが白くぼんやりとひかる中私はうとうとしていた。

そのとき、突然ふわっと体が宙に浮き次の瞬間バスは大きな衝撃とともに地に打ちつけられた。

私たちの乗ったバスは転落したのだ。

90度転回したバスの中はまるで異空間だった。

電気系統が落ちる。

横転により天窓となった左窓には瞬く間に雪が降り積もり、外の状況はまるで窺い知る事ができなかった。

非常灯が薄暗くその世界を灯していた。

女の人のすすり泣く声が響く。

ヒーターの消えた車内はどんどん冷え込んでいった。

そのとき、痺れを切らしたひとりの男が怒鳴り声あげた。

「おい、運転手さんよ!まだこれ以上落ちるのかよ。」

男の声はどこか不安気で、また、私も同じことを危惧していた。

バス中がしんと静まり返り、一同は運転手の声を待った。

「落ちるったて落ちようないでしょう、田んぼに落ちたんですから」

運転手は車内の熱っぽいムードに水を差すような冷めた声で言った。

どうやらバスは高さのある細い畦道を走っている際に対向車との離合に失敗し下の田んぼに転落横転したということがわかったのだ。

深夜のレスキューコール。

もうこれ以上落ちることがないと分かり、車内はとりあえずの安堵に包まれた。

ビデオカメラを回し出す者もいた。

さっきの泣いていた女性、どうやら怪我をしているということがわかる。

横転により地となった右シートの乗客は割れた窓ガラスで血を流し、天となった左シートの乗客は右の乗客がクッションになりたいした怪我はしなかった。

私は幸いにも後者だった。

レスキュー隊が到着したが、大雪のため代わりのバスはこなかった。

天窓のように開かれたドア部分から若いレスキュー隊員が手を伸ばし「ぼくの手につかまってください」と言った。

その手に助けられ(ちょっと胸キュンしながら)外に出た私は白銀の宇宙をみたような気分だった。

怪我をした半分の乗客は救急車で搬送され、歩行可能な半分の乗客は列を組んで最寄りの山小屋まで歩くことになった。

疲れと寒さの中サバイバルハイになって雪の中をだまってどれほどか今となっては思い出せない道のりを歩いた。

たどり着いたのはこぢんまりとしたロッジ。

通されたリビングには壁一面レコードがきれいに敷き詰められ、大きなボブマーリーの絵が飾ってあった。

あたたかいお茶を頂いた気がする。

ちょうどユースホステルのような中部屋にふりわけられたた私たちは、二段ベッドで眠った。

翌朝、朝食に白米とうめぼしに佃煮がすこしづつ。吸い物があったようななかったような。

非営業時に飛び込んだ私たちを受け入れてくれたというのがうかがえる内容の食事だった。

空には太陽が差し、雪は噓みたいに止んでいた。

代わりのバスが到着し、無傷だった半分の私たちを乗せて走る。

私たちを飲み込もうとした白い山の風景は次第にコンクリートのビル群へと変わり、バスは新宿で私たちを降ろしてどこかに消え、とくべつな一夜をともにした以外に何の共通点もない私たちはそれぞれの帰路に散った。

昨日の出来事がぜんぶ夢だったような気さえした。

私たちの体験した転落事後のことが、その日の夕刊に載っていた。

搬送された半分の人たちもみな大事には至らなかったようだ。

それから何日か過ぎ、バス会社の人がやってきて達者に謝罪し、詫びの小包と封筒を置いていった。

あの夜の転落事故の報酬、入浴剤と一万円が札一枚。



入浴剤と、一万円札が一枚。

入浴剤と、一万円札が一枚。

入浴剤と、一万円札が一枚。



あいにくうちの風呂は父が騙されてローン購入した循環風呂だったので入浴剤の使用は禁止だった。




今でも鮮やかに覚えている、12年前のクリスマスのできごと。





メリークリスマス!


























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